【フィンボスとカルーの違い】オトンナはどっち?

フィンボスとカルーは、同じ南アフリカに存在しますが、生態学的にはまったく異なる植生(バイオーム)です。
オトンナ(Othonna)はしばしば「フィンボス原産」と説明されますが、正確にはカルー(特にサキュレント・カルー)との関係がより深い植物属です。

本記事では、

  • フィンボスとカルーの定義の違い
  • 気候・植生・生態戦略の決定的差異
  • なぜ混同されやすいのか
  • オトンナはどちらに属するのか
  • 国際的評価・保護の違い

を、一次情報と公的資料に基づいて整理します。


フィンボスのおさらい|ケープ植物区系を代表する植生

フィンボスとは何か(公式定義)

フィンボス(Fynbos)とは、南アフリカ共和国南西部に広がる
ケープ植物区系 を代表する自然植生です。

この地域は、世界に6つしか存在しない植物区系(Floristic Kingdom)のひとつとして国際的に認められています。

フィンボスの基本的特徴

  • 分布面積:南アフリカ国土の約0.5%
  • 植物種数:約9,000種以上
  • 固有種率:約70%
  • 主体:低木性・非多肉植物

面積あたりの植物多様性は世界最高水準


https://whc.unesco.org/uploads/thumbs/site_1007_0022-1200-630-20151105153805.jpg
https://jannaschreier.com/wp-content/uploads/2017/03/perfect-fynbos-protea-erica-and-restio-clustered-together-at-kogelberg.jpg

カルーとは何か?|南アフリカ内陸部の乾燥地植生

カルー(Karoo)の定義

カルー(Karoo)とは、南アフリカ内陸部に広がる
半乾燥〜乾燥地域の総称です。

カルーは単一の植生ではなく、複数の生態区分を含みます。

主なカルーの区分

  • サキュレント・カルー
  • Nama Karoo(ナマ・カルー)

このうち、多肉植物と深く関係するのがサキュレント・カルーです。

サキュレント・カルーの特徴

  • 世界有数の多肉植物多様性
  • 冬雨型だが降水量は少ない
  • 多肉植物が景観の主体

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/7/74/Anysberg_P1020029.JPG

フィンボスとカルーの決定的違い|生態学的比較

一目で分かる違い(比較表)

項目フィンボスカルー(サキュレント・カルー)
生態区分植物区系を代表する植生乾燥地植生
気候地中海性・冬雨型半乾燥〜乾燥・冬雨型
降水量比較的多い非常に少ない
土壌極度の貧栄養(リン欠乏)鉱物質・乾燥
主構成植物低木・非多肉多肉植物
火災周期的に発生ほぼ発生しない

多肉植物が主体かどうかが最大の違い


なぜフィンボスとカルーは混同されてしまうのか

理由① 地理的に隣接している

  • フィンボス:沿岸部・山地
  • カルー:その内陸側

地図上で連続して見える


理由② どちらも「冬雨型気候」

両者とも冬に降雨が集中するため、

  • 冬成長型植物
  • 夏休眠型植物

が共通して見られます。

「同じ気候=同じ植生」という誤解が生じやすい


オトンナはどちらに属する?|正確な位置づけ

結論:オトンナはカルー寄り

オトンナ(Othonna)はフィンボス構成植物ではありません。

理由

  • フィンボス:低木中心・非多肉が主体
  • オトンナ:キク科の多肉植物属

生態的な本来の立ち位置

オトンナの多くは、

  • サキュレント・カルー
  • 半乾燥地の岩場・斜面

といった多肉植物優占環境に適応しています。

なぜ「フィンボス原産」と言われがちか

  • 分布域がケープ植物区系と重なる
  • 冬成長型という共通点
  • 園芸分野での簡略化表現

生態学的にはカルー側の植物


国際的評価の違い|保全対象としての位置づけ

フィンボスの国際評価

フィンボスを含むケープ植物区系は、
UNESCO世界自然遺産に登録されています。

登録理由(公式)

  • 極めて高い固有種率
  • 進化研究上の重要性
  • 気候変動への脆弱性

サキュレント・カルーの評価

  • 世界有数の多肉植物多様性地域
  • 国際的に「生物多様性ホットスポット」と評価
  • 研究・保全対象として注目度が高い

まとめ|フィンボスとカルーを正しく区別する

  • フィンボスとカルーは別の植生
  • フィンボス:低木・非多肉中心
  • カルー:多肉植物中心の乾燥地植生
  • 冬雨型という共通点が混同の原因
  • オトンナはカルー側の植物

この理解は、
多肉植物の原生地理解・正しい栽培管理・情報発信の信頼性に直結します。

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