
オトンナ・カカリオイデス―この植物のユニークな姿を見たら「かわいい!」と思わず声が出るはず。まん丸の塊根に、しゃもじのような小さな葉が茂り、生長期になると黄色くて小さな可憐な花を咲かせます。寒さにも強く、多少過湿な環境でも耐えてくれるそのタフさは、冬型塊根植物初心者にもぴったり。この記事では、そんなオトンナ・カカリオイデスの魅力と育て方を丁寧にご紹介します。
オトンナ・カカリオイデスとは?
学名・科名・属名
- 学名:Othonna cacalioides
- 科名:キク科(Asteraceae)
- 属名:オトンナ属(Othonna)
特徴
オトンナ・カカリオイデスは塊根植物の一種で、直径5~10 cmほどの丸い塊根が地表に現れ、生長期にはしゃもじ型の葉を密に展開します。冬に葉が出て、茎の先端に小さな黄色い花を咲かせる姿が特徴的です。生長速度は非常にゆっくりで、観賞価値の高い姿を長く楽しめます。
原産地と分布域
原産地は南アフリカのボッケベルト山脈周辺、標高800~1,400 mほどの高地で、自生地は乾燥した寒冷環境です。この地域出身であることが、耐寒性や乾燥への耐性にもつながっています。
育て方
日当たり・置き場所
- 冬(生長期)はできるだけ明るく、少なくとも窓辺やLEDライトで10時間程度の光を確保するとよいでしょう。
- 春・秋は屋外の直射日光の当たる場所に置き、風通しを良くします。
- 暑い夏は、涼しい日陰に避難させて。高温と多湿を避けることが大切です。
水やり
- 基本的に乾燥気味に管理し、水やりは乾いてからたっぷり与える程度でOK。多少忘れても枯れにくいです。
- 成長期(秋~春)は土が完全に乾いたら水を与え、休眠期(夏)は断水または月1回の少量水やりにとどめます。
- 秋口に芽吹き始めたら少しずつ水やりを再開し、いきなり多く与えず慎重に行います。
温度管理
- 耐寒性は高く、豪雪地帯をのぞけば、年中屋外管理でも問題ありません。
- ただし、念のため5 ℃以下になると室内に取り込んで管理するケースも多いようです。
- もっとも生長する温度帯は15 ℃程度とされているので、屋内管理の場合はご参考に。
土・肥料の選び方
- 水はけの良い多肉植物用土を使い、さらに赤玉土や日向土などを混ぜて排水性を高めるのが理想です。
- 成長期(秋~春)に薄めた液肥や、緩効性肥料を少量与えるとよい効果が期待できます。オーガニック質やマグァンプKなども有効です。
病害虫対策
- 高温多湿環境を避けることで、根腐れやカビなどの被害を未然に防げます。風通しと乾燥管理が最大の予防策です。
- 害虫では、乾燥を好む性質から、根腐れするほど水を与えないことが最も重要。必要に応じて鉢底からの排水もチェックしましょう。
ちょっとした豆知識
原産地での植生
オトンナ属は南アフリカ西部のケープ地方を中心とした乾燥地帯に多くの種が分布し、Othonna cacalioidesもこの地域の乾燥した高地で自生しています。塊根で水を蓄えつつ雨期である冬季に萌芽・花を咲かせる戦略を取っています。
オトンナの語源
種小名「cacalioides(カカリオイデス)」は、キク科の別属である「カカリア属(Cacalia)」に似ていることから名付けられています。ラテン語の接尾辞「-oides」は「〜に似た」という意味を持ち、つまり「カカリアに似たオトンナ」というのが学名の由来です。
希少価値
一時期は、冬型塊根として希少価値が高く、流通も限られていたことから、「見つけたら迷わず買うべき」と園芸家の間で語られることもありました。それでも最近は冬型塊根が着目され、手に入りやすくなっていると思います。
まとめ
オトンナ・カカリオイデスは、寒さにも強く、乾燥にも耐える塊根植物で、丸い塊根と黄色い小花が魅力の一鉢です。以下、育て方のポイントを整理します:
- 光:冬はLEDや窓辺で明るく、春秋は屋外日当たり&風通し良く
- 水やり:乾いたらたっぷり、休眠期は断水または控えめに
- 温度:寒さには強いが、念のため氷点下では室内に移動、生長適温は15 ℃程度
- 用土・肥料:排水性良好な土+成長期には薄肥
- 病害虫対策:高温多湿厳禁、風通し命
そして何より、「オトンナ属は丈夫で育てることが簡単。その中でも、カカリオイデスは寒さにも強いし、多少過湿気味になっても問題ない。なんといっても、まるっこい塊根部と黄色くて小さい花がかわいい」ということから、この植物を一押しします。ぜひ、そのかわいらしさと育てやすさを楽しんでください!


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