夏場は「枯れ草の団子」のような姿になる――それがオトンナ・レトロルサです。
一見すると枯れているように見える外観にもかかわらず、その姿そのものを愛でる園芸ファンが多く、「見た目」と「育てやすさ」のギャップが大きな魅力となっています。
本記事では、基本情報・形態的特徴・育て方・豆知識までを体系的に整理し、初心者にも理解しやすい形で解説します。

基本情報
- 学名:Othonna retrorsa
- 科名:キク科(Asteraceae)
- 属名:オトンナ属(Othonna)
原産地・自生環境
- 分布域:南アフリカ共和国北部
- 主な地域:Northern Cape ~ Namaqualand
- 生育環境:
- 砂地
- 花崗岩質の岩場
- 降雨量が少なく、季節的に乾湿差の大きい地域
形態的な特徴
葉の特徴
- 青白いエメラルドグリーンの葉色
- 硬く厚みがあり、ぎらぎらした質感
- 夏の休眠期には枯れるが、落葉せずに枯れ葉が株を覆う
→ この状態が「枯れ草団子」と形容される最大の理由です。
成長点
- 成長点は白い羊毛状の毛に覆われる
- 気温が下がる秋以降、この部分から新葉が展開
花
- 成長期に5~6cm程度の花茎を伸ばす
- キク科特有の小さな黄色い花を開花
育て方ガイド
日当たり・置き場所
- 基本条件
- 明るく
- 風通しの良い場所
- 季節ごとの注意点
- 夏:
- 直射日光は避ける
- レースカーテン越しが安全
- 秋~春:
- 十分な日照を確保
- 夏:
水やりの管理
成長期(秋~春)
- 土の表面が乾いたらたっぷり給水
- 目安:週1回程度
休眠期(夏)
- 完全に乾いてからごく少量
- 目安:月1~2回
- 補足:
- 断水気味が基本
- 乾燥が強い場合は霧吹きで軽く湿度調整
- ※過湿は蒸れの原因になるため注意
温度管理
- 冬型植物で寒さに比較的強い
- 目安:
- 雪や霜に直接さらされなければ問題になりにくい
- 一般管理では 7~10℃以上を確保すると安全
- 注意点:
- 高温多湿に弱く、夏の蒸れ対策が最重要
土・肥料
用土
- 基本条件:
- 水はけが非常に良い
- 通気性重視
- 推奨:
- 多肉植物用培養土
- 必要に応じて軽石・砂を追加
肥料
- 成長期にのみ施用
- 少量の遅効性肥料を置き肥で使用
- 過剰施肥は不要
病害虫対策
- 最大のリスクは蒸れ
- 管理上のポイント:
- 枝葉が密集しすぎないよう注意
- 風通しを最優先
- 夏場は葉に直接水をかけない
- 腐れ・カビは過湿と高温が主因
豆知識・名前の由来
- 種小名 retrorsa
- ラテン語で「後方へ反り返った」という意味
- 由来:
- 枯れた葉が反り返りながらも株に残る姿から命名されたとされる
- 機能的な側面:
- 枯れ葉が直射日光を和らげる遮光層として働いている可能性が指摘されている
- 園芸分類:
- 外観から**Cushion Plants(クッションプランツ)**と呼ばれることもある
まとめ|オトンナ・レトロルサの魅力とは
オトンナ・レトロルサは、
- 南アフリカ原産
- キク科オトンナ属
- 冬型の塊根性多年草
という明確な生態的特徴を持ちます。
本種のポイント整理
- 枯れているように見える姿が観賞対象
- 枯葉をまとった独特のクッション状株姿
- 最大1m近くまで成長する存在感
- 黄色い小花という意外性
- 夏の管理に注意すれば比較的丈夫
一般的な観葉植物とは全く異なる価値観を提示してくれる存在として、
珍奇植物・塊根植物に興味を持ち始めた方にも適した一株です。
「夏に枯れている姿すら美しい」
ぜひ、オトンナ・レトロルサならではの造形美を、じっくりと育成・観察してみてください。

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